■ストリートとサーキットが絶妙に両立した理想的なパッケージ
G-Techが新たにラインナップした仲間、通称「テン君」は、10万キロオーバーの中古車がベースになっている。この話を聞いた時、正直「おいおい大丈夫?」と思った。日本車ならば10万キロも走っていたら、フレーム剛性は低下し、サスペンションのゴムブッシュが減ったりして、どんなに頑張ってカスタムしても行きつく先は、そこそこの仕上がりが良いところ。しかし、実際にサーキットを走らせてみたら、そのパフォーマンスの高さに驚いた。
フィアットはフレーム剛性がとても良いようだ。フレームやサスペンションが減った感覚はまるで感じない。余談だがサーキットでは、きっちりメンテナンスをしていてもアクシデントが付き物。仮にこのフィアットで160km/hものスピードでタイヤバリアに突っ込んだとしても、ドライバーを保護してくれるくらいのフレーム剛性がある。ロールバーを入れることなく十分な剛性があるフィアットは週末、サーキットで転がすには最高のベース車のようだ。
普段の街乗りに使えて、さらにサーキットで遊べるパッケージをコンセプトに開発されたテン君は見事に両立を果たしている。サーキットではロール感があるが、過重移動を上手に使い熟せると、こんなに楽しいクルマはない。テン君に装着されたタイヤは、ドリフトなどで使われている海外のタイヤで、グリップレベルは国内有名メーカーには劣る。そんなタイヤでもコーナーリング性能の評価は高いのだ。
サーキットを走ると車体がロールして、限界域が低い感覚になる。でもしれは間違いだ。しなやかな足は、様々な路面状況に対応するオールマイティな部分がある。もちろんサスペンションを固めたほうが、ステアリングの応答性が良くなって旋回スピードがあげられるような感覚がある。でも実は固いサスペンションは、タイヤの性能に左右されるため、よりシビアなドライビングが必要となるのだ。さらに意外と路面状況の変化に対応できないため、レース中に雨が降ってきたら、止まらない・曲がらないの二重苦となる。
サーキット走行をすると固いサスペンションとハイグリップタイヤを履きたがるオーナーさんが多く見受けられるが、プロ並みに速くなりたいのなら柔らかいサスペンションできっちりとドライビングを学んだほうが短時間で速くなれる。また、市販車を固いサスペンションにしてしまうと、普段の足としては適さないし、ゴツゴツ突き上げるようなクルマでは、奥さんの買い物や子供の送り迎えにはとても使えない。お金があって何台も所有できるユーザーは別として、現実は1台ないし2台を所有できるのがいいところ。その点、テン君は、どんな街乗りとサーキットでも両立可能な合理的なモデルだ。
■テン君のパフォーマンスの高さを支えているオーバーフェンダー
テン君はG-Techがスーパー耐久で採用しているオーバーフェンダーを備えている。そのアップグレードが効果絶大だ。トレッドが広がり高速安定性とコーナーリング中の旋回性能が飛躍的に向上している。また、スーパー耐久で得たノウハウは、リアサスペンションの絶妙なセッティングと、フロントブレーキとの絶妙なマッチングが実現しているリアブレーキキャリパーが、良い仕事をしている。このノウハウはG-Techだけが持つ特許ともいえる。
■テン君にはG-Techの180キットが組まれている。
G-Tech180キットがインストールされたテン君は、10万キロも走っているエンジンとは思えないほどパワー感がある。特に4000rpmくらいからのトルク感はさすがだ。サーキットでは中間トルクがあるクルマのほうが乗りやすい。ちなみに岡山国際サーキットのストレートセクションでは、各上のBMWやアルファロメオがなかなか抜けないくらいのパフォーマンスを見せてくれる。加速感も十分満足できるパフォーマンスだ。
■ローンチシステムが効果絶大
今回、テン君にはロスのないスタートを可能にするローンチコントロールシステムがインストールされた。これが良い仕事をしてくれた。スタンディングスタート時、ギアを1速に入れたままクラッチを踏み、アクセル全開にすると4000rpmでエンジンにリミッターがかかったようになる。あとは、クラッチを上手にリリースするだけで、楽にスタートが切れる。スタートはドライバーのアドレナリンが最高値になるため、冷静さを欠いてクラッチミートのタイミングが自然と高回転になって、鬼のようなホイールスピンを起こし、スタートで出遅れてしまうことが多い。ちなみに経験豊富なオレでも完璧なスタートができたのは数えるほどしかない。そんなスタートのミスを少なくしてくれるアイテムがローンチコントロールシステムなのだ。操作はいたって簡単。トラクションコントロールスイッチをOFFにして、スポーツモードにする。クラッチを切って、アクセルを床まで踏み込む。あとはシグナルが変わったらクラッチをリリースするだけだ。今回、岡山国際サーキットのテストで使用したけど、このローンチコントロールはおススメのアイテムだ。
■最後に
今回G-Techが、この理想的なパッケージを開発した背景には、世界的にみても過酷な耐久レースである“スーパー耐久”で得たノウハウが大きく影響している。フィアットをベースに様々なトラブルを経験したG-Techだからこそ得られた貴重なデータが、街乗りとサーキット走行という相反する条件をクリアできたのだと実感した。テン君のパッケージングは今後さらに開発を進め、クルマと共に過ごす楽しみのある日常を提供するのがG-Techが目指すところだ。
G-Tech Racing開発ドライバー 武井 寛史
ストリートとサーキットが絶妙に両立した理想的なパッケージを発売
G-Tech GTキット 1,254,000円(税別):
・ ABARTH 500 GT ボディキット (G-Tech デカール付き)
・ G-Tech アルミホイール RAYS
・ ZESTINO タイヤ
・ G-Tech ALAGOSTA車高調
・ 取付ペイント、フェンダー加工
・ 足回り取付、アライメント調整
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